◆供養に関する情報  NPO手元供養協会

●仏壇がある家は子供の非行が少ない!?

手を合わせる両親・祖父母の後姿を見て育ってきた子供達は、その後ろ姿に学んできたものが少なくないようです。
近年、仏壇をもたない家庭や、祖父母と暮らす家庭が減ってきました。実は仏壇と青少年にとある関係が見られます。福岡県が検挙・補導された青少年(27,926人)を対象に家庭の仏壇の有無を調査した結果、検挙者、補導者ともに非行に走る率は仏壇がない家庭が高いことがわかりました。
【検挙者で仏壇ある24.8%、ない71.6%】【補導者で仏壇ある33.9%、ない62.7%】

●仏壇の前であなたは何に手を合わせていますか!?

位牌に名の記された両親や、顔のわかる先祖ではないでしょうか?
しかし仏壇とはその家の宗派のご本尊をお祀りするもの。なので“本尊”に手を合わせるのが本来の姿勢です。
ときにお寺にお参りに行った時はどうでしょうか?本堂の本尊に手を合わせずに、お墓に直行していませんか?お墓に入っている先祖や、檀家・信者としてあなたはその宗派の本尊の加護を受けているのですから本尊、住職に失礼のないよう注意が必要です。

●位牌の生まれは中国の儒教!!

故人の名前、戒名などを刻む位牌ですが、実は仏教とは関係ありません。
位牌の起こりはは中国儒教で先祖祭祀の時に使用される位版(いはん)、神主(しんしゅ)などに起源があるとされます。しかし儒教儀礼を取り込んだ中国仏教を学んだ日本の僧侶を通して位牌が日本でも使われるようになったといわれます。したがって他の仏教国では位牌は見られません。

●手元供養がしずかなブーム!?

最近の住宅事情の変化などを受け、家具調や小型の仏壇を求める人が増える中、身近で故人を感じられる「手元供養」の考え方が広がりつつあるようです。
遺骨でつくるペンダント、室内サイズのお墓、遺骨の入るオブジェ等、どこにでも置け、肌身にも着けられることや、宗教や思想を超えて故人を偲ぶことが出来るのが受けている様です。
かたちが変わっても私たちは身近で手を合わせる事を大事にしている印象を受けます。


◇供養についての一般情報

■自宅供養のいろいろ

名 称 特徴 近年の動向 費 用
●仏壇 高級品は工芸品としての価値も 海外生産、小型化、簡易化 \-\\\
●都市型仏壇 マンションに違和感なく 販売数年々上昇 \-\\\
●小型・卓上仏壇 仏間や仏壇設置場所が狭くとも 従来型、都市型の小型化 \-\\
●位牌 仏式・故人の名前など情報を記す 機能位牌の登場、モダンに \-\\
●写真 あの時の思い出がそのまま 今も昔も思い出の定番 \-\\
●手元供養 宗教、思想に関係なくどこにでも 新しいジャンル、商品多彩に \-\\

■自宅での供養のあり方も多様化傾向

お骨の行き先同様に、自宅での供養も継承者がいない、故郷離れ、少子化、価値観の変化、仏教離れ、不景気などの影響を大きく受けています。 
自宅供養では従来の仏壇が小型化、価格安になってきている他、仏間のないマンションにも置ける都市型仏壇が受け入れられるようになってきています。そしてどちらとも小型商品の取扱いが増えているようです。
また新しい供養ジャンルに「手元供養」があります。これはお葬式を無宗教(お別れ会)で行った人や、散骨を行ってお墓や供養の対象を持たない方々の自宅供養の対象として、またセカチュウのようにお骨を少し手元に置きたいという人たちに、あたらしい供養の対象として、しずかなブームが起こっています。


◇悩み解決への道 ≪知識&手がかり≫

仏壇を置く仏間がない

・マンション住まいで仏間がない
・経済的に仏壇に手が届かない

【 解決策 】= 1,小型仏壇や都市型仏壇をリビングに。
         2,小型仏壇や手元供養で置ける場所に
 →宗派のしきたりを重視される方は、お寺さんに相談するのがよいでしょう。宗教者によっては
 都市型仏壇でもその方が望んだのならばそれでよいと言われる方もあります。まずは相談を。

ポイント
仏壇や手元供養商品は目的、予算、設置場所、デザインを考えて選べばよいでしょう。

自宅になにもない

・次男三男の息子や娘なので親の供養ができない。
・散骨、無宗派のお別れ会をしたので位牌がない。

【 解決策 】= 供養の対象物をもつ
 → 仏壇をもつ。嫁いだ娘は立場上難しいが、次男三男でも仏壇はもてます。
 → 手を合わせる対象として故人を偲べる「手元供養」の選択肢もあり。

ポイント
手を合わせたい、供養したいと思う気持ちが大切。

お骨を手放せない

・最愛の伴侶のお骨を一人ぼっちでお墓に入れることができない。
・いつまでもそばにおいて置きたい。

【 解決策 】=お骨の一部を身近にもつ
 → 骨壷を自宅で保管することは法律上問題がありません。気が落ち着くまでそばにおくのもいいでしょう。
 → お骨の一部をオブジェやペンダントに納める。これなら家でも堂々と(遺骨とわからない様に)置けます。

ポイント
日本人のお骨信仰は古くからあるものです。現代の法律でも自宅に遺骨を置くことは問題ありません。お骨を身近にお守り代わりにする人達もいます。

【 キーワード 】

【弔い上げの期間】

インド仏教では輪廻思想に基づき、人が死んで49日を経ると新たな生命を受けると考えられており、故人を祀る期間は49日の中陰までです。
中国に行くと49日まで7日ごと7回の仏事に加え百ケ日、1周忌、3周忌まで延びます。
それが、日本では人が“祖霊”に昇華される33年、33回忌(50回忌)まで延び、その間、故人を祀り法要をおこなっています。
同じ仏教でも国によってそれぞれ故人を祀る期間が変わるようです。

【日本人のお骨信仰】

戦後70年たった今も、過去の戦地に遺族の遺骨・遺品を捜しに行く民族は日本人くらいではないでしょうか?
その背景を著名な宗教学者(山折哲雄氏)の講演から一部を紹介します⇒
「平安時代の中期になると日本人の信仰に変化が生じてくる。次第に遺骨に対する関心が生まれ、山の上に遺骨を納める納骨慣習が始まったのである。
その慣習は山岳信仰に基づいて広まっていった。遺骨は単なる遺骨ではなく、魂を意味しており、遺骨と魂とは一体であると考えられるようになったものです。
遺骨信仰は日本の霊魂信仰と仏舎利信仰とが結びついたものである。位牌への信仰も同様であり、位牌と魂とが一体であると考えられるようになったのである。」

日本人は八百万やおよろずの神を持ち、山岳信仰、浄土に対する信仰、遺骨信仰、また儒教の影響等を受け独特の死生観、供養観を持つようになったのですね。

仏壇と青少年の関係で、仏壇がある家庭の方が倍以上も低くなっています。大切なのは仏壇の有無ということではなく、仏壇を通じて家族や祖父母との心の交流に大きく関係しているようです。
コミュニケーションの必要性と同時に、悩みの多い世の中で、手を合わせるという行為が私たち個人の安らぎを生み、自然に懺悔(ザンゲ)することで心が癒されているのでしょう。
信仰する宗派の本尊であったり、手元供養で先祖にと、時代とともに対象の形が変わろうとも、何かに手を合わせる姿は今後残して生きたい、大切な日本の心の文化ではないでしょうか。